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EASY*RIDER

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デュラリーお題#03

また一個消化。今日は「4:買い物」より。

日常の一コマです。

 

 

 


「・・・どうするよ?」
「・・・そうね」
 マナの聖域を目指して各地に散らばる精霊を探す旅の途中。もうそろそろ日も傾こうかという時刻に、街道の片隅でデュランとリースは膝をつき合わせて思案中だった。双方、憂いの色が非常に濃い。
 もう一人の連れであるケヴィンは、そんな二人を交互に見比べては小さく首を傾げていた。一体何が原因で彼らがここまで難しい顔をしているのかはよくわからないが、何やら口を挟むのも憚られるほどの深刻な空気が流れていることだけは確かである。ゆえにケヴィンは、彼らにならってこの場にふさわしい真剣な表情を最大限の努力でもって顔に張り付け、押し黙ったまま二人のそばに鎮座して話の行方をおとなしく見守っていた。
 ややあって、デュランが依然として眉間に皺を寄せた厳しい表情のまま顔を上げる。盛大に溜息を一つついて仲間二人を見渡したあと、重々しい口調で切り出した。



「俺ら、また金欠だぞ」



 そのまま押し黙ってしまった三人(といっても一人はまだ状況がよく飲み込めていない)の頭上で、カラスが一羽間抜けな声でがあと鳴いた。










 道中は何かと物いりだ。水、食糧はもちろんのことだが、特にまめに行わなくてはならないのは回復・治療系アイテムの補充である。今現在、そうしたアイテムに代わる魔法を使える者がパーティにいないため、在庫には常に余裕を持たせておかなくてはならなかった。また、レベルを上げていく三人に比例するように敵も強さを増してきており、戦闘を有利に進めるための補助アイテムの存在も非常に重要な位置を占めるようになっている。
 そして更なる問題は、武器防具に関する出費である。デュランとリースが使用する剣や槍は、金属を多量に用いた頑丈なつくりになっていて攻撃力も高いが、当然その分他のものよりも高価だ。ケヴィンのグローブも、大型の武器ほどではないにしろ結構値の張る代物である。こうした事情に前述のアイテム出費が重なるため、三人のフトコロは慢性的な財政難状態にあった。
「────そろそろ、武器の買い換え時だとは思うんだけど」
 鉛のように重い雰囲気の中、口火を切ったのはリースだった。難しげな表情がその小さな顔に浮かんでいる。
「アイテムの在庫も厳しくなってきたし、補充しなくちゃならないわ。でも、財政状況から判断して二つを同時にするのは」
「まあ、無理だろな」彼女の言葉をデュランが締めくくる。「今あるもん売っ払っても、まかないきれるかどうかわかんねえぞ」
「そうなのよね・・・」
 リースは溜息混じりに頷いて空を仰いだ。新しい武器の購入時に、それまで使っていた古い物を売って出費の足しにするのは常識である。だが、もっぱら物理攻撃を主流とする三人の武器は、次第に過酷になっていく戦闘のせいもあって傷みが早かった。それゆえ最近では売値がやたらと変動するのはもちろんのこと、破損の程度によっては買い取りを拒否されるなどとといった事態がたびたび発生している。
「次んとこが良心的だと嬉しいんだがな。こないだの武器屋のオヤジなんか、元値の10分の1でしか買い取れねえとかほざきやがったぞ。状態が悪すぎるとかなんとか抜かして」
 忌々しげにデュランは唸った。当時のことを思い出して、ただでさえ愛想がいいとはいえない顔つきが更に剣呑になっている。怖い。
「10分の1だぞ10分の1!あんの強欲ハゲ、こないだのやつはそこまでボロボロじゃねえ!!野郎、目ぇ腐ってたんじゃねえのか」
「腐ってたかどうかはわからないけど、とりあえず買い取ってもらえただけでも良かったわ」リースの口調はどことなくなだめる風だった。「でも実際、武器防具の傷みは難しいところではあるわよね。まめに手入れしていても限界はあるし、売るときのことまで考えて使う余裕はないし」
「交渉すんのも気力体力使うしなあ・・・やらなきゃならねえこととはいえ疲れるぜ。
 それにしてもあのオヤジにはムカついたな。鼻ん中にコーラとかぶちまけてやりてえ」
「・・・どんな仕返し?」
 少し呆れて思わず突っ込んでしまったリースだったが、その意識はすぐに本題に戻った。一呼吸おいて再び口を開く。
「まあ、全部一気にそろえようとしないで少しずつ装備を調えるってやり方もあるし、今の私たちにはそれが一番じゃないかと思うけど」
「そだな。それでいくしかなさそうだな」わしわしと頭を掻きながらデュランが相槌を打つ。「とりあえず、今一番要りそうなアイテム先に補充して、残金に余裕があったら古い物を売ったのと合わせて新しい武器買うとかするか?」
 デュランの提案にリースはこくりと頷いた。今の状況において、自分たちにこれ以外にまともな選択肢があるとは思えない。
「あと、今日は適当な場所で野宿ね。今からじゃ急いでも日暮れまでには次の街に着けないし」
「野宿用の備品ならまだそこそこ大丈夫だしな。ってか節約だよ節約。
 つーわけでだなケヴィン、次の街着いてアイテム補充して金余ったら、真っ先にお前の武器から新調すっから・・・ってあれ?ケヴィン?」
「ケヴィン?」




「─────Zzzzz・・・・・」




 途中で会議についていけなくなったケヴィンは、その場に正座したまま思いっ切り船を漕いでいた。
 そんなこんなで、今日も平和に日が暮れるのである。

 






Fin.




「金が敵の世の中です」
inspired by 「デュラリーに関する100のお題 No.04:買い物」


 


 作戦会議と同等な重要度を持つもの。それが金策。
 デュラケヴィリーのパーティは、ゲーム開始初期から攻撃力体力ともに高く大変使いやすかったですが、とにかく金がかかりました。
 何が高いって武器が高い。主要キャラ6人中、兄さん>リースお嬢さん>ケヴィン坊ちゃんの順で高いですからね。
 あと、ゲーム中では中古品は半額で買い取ってもらえるけど、実際売り買いするときいろいろ交渉してたら面白いなと。そういうところから浮かんだネタ。
 しかしこういうのをデュラリーと銘打っていいものか。

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